少し前の日記から
天神橋筋商店街は、俺の古書店巡りの定番コースだ。
日本一長い商店街としても有名だが、俺の古本屋散歩歴でも一番長い。
むかしに比べ、季節感の薄れた昨今だが、それでも10月ともなれば、空気もひんやりとして、読書の秋とは使い古された言葉だが、やはり読書にいそしむにはピッタリの季節だ。

「天神橋筋商店街」北側の天六入口(谷町線「天神橋6丁目駅」はすぐ近くにある)

ここからJR天満駅のガードをくぐり、天神橋1丁目まで長く続く

「大阪天満宮」(天満の天神さん)がある天神橋2丁目入口
JR天満駅を南に下る。反対側の天六方面の商店街やその周辺にも、かっては古本屋が何件かあったのだが、今は飲食店に変わってしまっている。
その中の一軒に、裏本の全盛期の頃、店主が座っている番台?横に堂々と裏本を何十冊も置いてある店があった。
ふつうは客の求めに応じて店主が奥からこっそりと出してくるのだが、平然と並べてあり自由に選べたので、「肝が据わってるなあ、さすがナニワ商人や!」と感心しながら通い何冊も買った。
(いちおう書いておくと「裏本」とは、無修正の男女の絡み写真本。「ビニ本」とはスミまたは銀色のインキでべた塗り、その後薄消しやレースで覆って薄っすらと隠した一応合法の写真集)
日本最古の裏本「法隆寺」「金閣寺」(1981)よりも少し後、当時のヒット曲、中森明菜の「少女A」や松田聖子の「ガラスの林檎」のタイトルがあったので1982~83年頃だったと記憶する。(内容とは関係なく、ヒット曲のタイトルを借りた物が多かった)
ある日の仕事帰りの夕刻、いつものように立ち寄ってみると店が閉まっている。ふと胸騒ぎをおぼえ、その場を立ち去った。その後も何回か訪れたが、いつもシャッターが降りていた。
そして数ヶ月後、同じ場所に立つと……店が開いており、かっての場所にはもう裏本はなかった。
「いやぁもう懲りましたわ~」という他の客と話す店主の会話が聞こえた。
(実は店主が拘留前に、買った裏本をすべて売りにいった。売価が2000円、買い取りが1000円位だったか。もう少し売りに行くのが遅かったら、売れなくてまだ手元にあったかもしれない。)
1990年代後半、ネットに違法にアップされているかっての裏本のサイトがあった。無修正動画時代前夜、1980年代の夢の残滓だった。
話が脱線したが、天五中崎通商店街に唯一現存するのが、天神橋筋商店街から近い距離にある「高山文庫」だ。(2019年12月30日閉店)
ネットでも多くの紹介記事を見ることができる有名な「青空書房」は、2013年12月にいったん閉店し、その後自宅で営業再開。2016月7月2日店主である坂本健一さんの死去により惜しまれて閉店した。
俺がこの「青空書房」を知ったのは、筒井康隆さんのエッセイだった。筒井少年が自宅にあった父親の蔵書を「青空書房のお兄ちゃん」の店に売りに行った話を読んで、天神橋筋の古本屋巡りのついでに訪ねた。それから巡回コースの一軒に加わってから早くも50年近くたった。
何を買ったのか、あまり覚えていないのだが、店頭の50円コーナーにあった、野坂昭如の『エロ事師たち』(帯に三島由紀夫の推薦文があった)だけは、なぜか記憶に新しい。
この天五中崎通商店街にはもう一人名物店主がいた。自然食レストラン―下町のメシヤ(飯屋)こと「宇宙家族」のオーナーである。この方も惜しくも2006月10月に亡くなった。
このころの中崎通商店街は、天神橋筋に比べ、今と違って寂れて暗い印象だった。

「青空書房」や「宇宙家族」のあった中崎通商店街

中崎通商店街に来ると若き日の緒形拳に逢える
現在JR天満駅近くの「はんこ」屋さんがある場所にも古本屋があった。店頭には「えろちか」などエロ本が置いてあった。

JR天満駅近く――昔とあまり変わっていない

JR天満駅近くで、西岡恭蔵の『プカプカ』を演奏するストリートミュージシャン
そうだ忘れてはいけない。駅近くの交番横にも「天四文庫」(2014年閉店)があり学生の頃、よく新刊古書を買った。
さて環状線ガードより南のJR天満駅近くに「エンゼル書房」がある。
この日の購入本。
「卍ともえ」単行本 野坂昭如 講談社 1972
人形佐七捕物帳(四)嵐の修験者 横溝正史 嶋中文庫 2006
みささぎ盗賊 山田風太郎 ハルキ文庫 1997
「卍ともえ」は著者初の時代長編。当時新刊で買って、途中で挫折。ずっと気になっていた一冊。

「エンゼル書房」
天三商店街には、「栞書房」「矢野書房」そして老舗「天牛書店・天神橋店」があり、少し先に「駄楽屋書房」が軒を連ねている。

古書店が集まる「天三商店街」

「栞書房」

「矢野書房」

「天牛書店・天神橋店」

ハロウィンにちなんだ「怖い本特集」

「駄楽屋書房」
「天牛書店」では、ハロウィンにちなんで「怖い本特集」をやっていた。今はハロウィンがあるので、こういったイベントも季節外れにならなくていいね。
「天牛書店」は、本店も含めてだが、欲しい本はためらわないで買ってしまう、絶妙な値段の付け方をしていて、しかも程度がいい本が多い。
「天牛書店」は、本店も含めてだが、欲しい本はためらわないで買ってしまう、絶妙な値段の付け方をしていて、しかも程度がいい本が多い。
この日の購入本。
「忍法忠臣蔵」山田風太郎忍法帖2 講談社文庫 1998
「江戸忍法帖」山田風太郎忍法帖8 講談社文庫 1999
「忍法関ヶ原」山田風太郎忍法帖14 講談社文庫 1999
「外道忍法帖」山田風太郎 忍法帖シリーズ(二) 河出文庫 2005
前回買った本。
「祭りよ、甦れ!―映画フリークス重臣の60s‐80s」 佐藤 重臣 ワイズ出版 1997
「まぼろしの大阪」坪内祐三 ぴあ 2004
「天牛書店」については、またいずれ書きたい。
少し歩き疲れたので、天六の「コメダ珈琲」で休憩。その後、なんばの「星乃珈琲」へはしごして帰途に就く。
追記:
上記「高山文庫」が2019年12月30日で閉店。
これからはネットだけで営業するらしい。

「高山文庫」


